Search

H A N A F U K U

気ままに綴る日々

おじいちゃんからの手紙

宮崎のおじいちゃんから、手紙が届いた。
可愛らしい花柄の封筒で。

中には、おばあちゃんのお葬式の時、
息子娘、嫁婿、孫が集まった記念に皆で撮った集合写真と、
手紙が入っていた。

手紙は、短い、とても短い手紙だった。
でも、なんだろう。
すごく想いの伝わる手紙だった。

文字以上に伝わるものが、どっと押し寄せてきた。

いろんなことが頭をめぐる。

おばあちゃんのお葬式の時のこと。

今のお葬式だからなのか、
その式場だからなのかは、分からないが、
受付の隣には
まるで結婚式のウェルカムボードのように
おばあちゃんの写真がたくさん飾ってあった。

その写真の多くは、
おじいちゃんも一緒に写ってる写真だった。

時を重ね、
家族を築き、
また、二人になり、
また、時を重ね、、

いろんな時代を
いろんな風景を
一緒に見て、感じてきたんだと思う。

頼りがいのある男とそれを支えるあたたかな女。
そんな言葉がぴったりな夫婦。

それを感じさせる写真の数々。

私は、式の受付のお手伝いをしていたので
親族より少し早めに式場の近くにいた。

すると、誰もまだいない
式場におじいちゃんが一人、いた。

尺八の演奏者でもあるおじいちゃん。

尺八を持ち、
おばあちゃんの写真に向かって
深々と一礼。

それから、尺八を演奏した。
まだ、だれもいない式場に響く音色。

おじいちゃんから、おばあちゃんへの最後のメッセージかのように。

演奏後、深々とまた一礼。

涙を抑えることなんてできなかった。

おじいちゃんは、式の間、一滴とも涙を見せはしなかった。
式の最後も、おばあちゃんはおじいちゃんの尺八で見送られた。

とても、印象深い式だった。

沖縄に帰ってきて母から聞いた話。

おばあちゃんが寝たきりになった時のこと。
母が、朝方、冷え込んでいるからと、
おばあちゃんに布団をかけに行った。

するとおばあちゃん。
「父ちゃん、ちゃんと布団かけてるか見てきて。」
と、母に言ったそう。

夫婦というものはすごいんだね。
と母は私にしみじみ言った。
なにかを学んだかのように。
私は、その姿に何かを学んだ。

いつでも、
自分がどんな状態になっても
旦那のことを思っている。
誰よりも、気にかけている。
それが夫婦というものだ、と。

式が終わり、
娘息子、婿嫁、孫も帰り、
誰もいなくなった広いお家で、
畑作業が終わったころだろうか。

いつものあの座椅子に腰掛け、
式の時撮った写真を見ながら、
孫一人一人にまで、
こうやって手紙を書いたと思うと。。。

また、宮崎に行こう。おじいちゃんに会いに。

まずは、返信を書こうと思ったが、
あいにく封筒も便せんも持っていなかった。

今度、本島に出たときは、買いに行かなくちゃ。
また、遊びにいくからね。って、書かなくちゃ。


Leave a Reply

Name *

Email *

Website

© 2025 H A N A F U K U . All Rights Reserved.