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気ままに綴る日々

沖縄から貧困がなくならない本当の理由を読んで

沖縄の貧困とういうセンセーショナルな切り口で論じられた本書を読み進める前に、
一県民としてどんな内容でも否定せず一旦は受け入れると決め読み進めた。

読み進めれば、読みやすい文章で面白く、疑問を抱いた著者が県民と深く向き合い、
沖縄の貧困の理由を突き詰めており、その姿に単純に共感を得た。

ここであげられている、沖縄の貧困の理由は、県民であれば肌感覚で理解できる。
「みださー」「できやーじらー」など確かに私も学生のころ使ったことのあるワードで笑った。

 

本書を読み終え、問題が解決されたという爽快感を得たというよりも、
自分なりにもう少し熟考したいというモヤモヤ感に包まれた。
その後、自分なりに熟考した結果、私なりの感想をまとめたいと思う。

 

本書は現在の沖縄の貧困という、時代も地域もピンポイントに絞り論じられているが、
私はそこに「時代の流れ」という視点を加え少し俯瞰して考えてみた。

 

結論から述べると、時代という一つの流れの中で考えてみれば、
本書で貧困理由としてあげられているそれらは、
古い教えがもたらした弊害、
もしくは
生活仕様の急速な変化と、それに伴わない鈍化された人々の思考とのギャップが生み出した弊害
といえるのではないか。そう、私なりに結論付けた。

 

近代化が進む以前、人は生まれたその土地でそこに住む固定された人々と生活をともにしていくことが大多数の生き方であっただろう。住んでいる空間も関わる人も今よりもずっと限られていた。
その中でよりよく豊かに暮らすための教えは、
和を保つこと、協調性をもつこと、上の意見に従うことなどの理由が重要であったと考えるのは難しいことではない。
その教えはいつしか県民のDNAにまで刷り込まれ意識せずとも表現できるようにまでに至った。

 

が、時代のほうが急速に変化した。
交通技術が発達し、限られた「空間」は緩み人々は自由に移動できるようになった。
情報化が進み誰もが発言する自由を得た。そうやって時代はたった数年で急速に急激に変化した。
ひと昔前の教えが染み付いた人たちと、現代の生活様式の大きなギャップは、
沖縄の場合貧困という形で現象化されてしまったのではないだろうか。

 

そう、時代は急速に変化した。
その変化に人の思考は遅れをとっている。
豊かになる教えがこれまで通りにはいかないのだ。

でも、そのことにおそらく多くの人たちが気がつき始めていて、
新しい思考法、新しい豊かになるための教えを模索ししてるからこそ、
本書が売れたのではなかろうか。

 

では、次の新しい時代ではなにが豊かになるための教えなのか、
本書ではそこまで言及されている。それは「自尊心」の大切さだ。

 

交通技術が発達し、人々が容易に自由に移動できるようになったことで、
それまで固定された空間は緩み、人々は多種多様な人々と交わるようになった。
そうなると、一共同体であった「私たち」から、一人の「私」としての自立が必要になる。
その自立にはやはり「自尊心」は欠かせないキーワードになるのであろう。

 

自尊心を持ち一人の「私」としてすっと自立した者にとって、
新しく出会う者、物の違いはは、脅威ではなく、「楽しめる差」だ。
「自尊心」と同様に、差を楽しむ力は、これから大切になるのではないかと思う。

 

私は、現在、離島在住だが、
離島は、限られた空間、固定された人々との暮らしという前近代的な部分が物理上、色濃く残る。

その中で、これからを豊かに生きるためのすべとはなにか、
本書で得た気づきをヒントに引き続き考えていきたいと思う。

そう、まとめて終わる。


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