
シロ
当たり前の風景。
帰ればそこにある
無邪気な姿。
すごく久しぶりでも
私のこと、
決して忘れることもなく
ひょこんと姿を出し、
嬉しそうに
しっぽをふってくれたね
今度帰った時に
もう、そこにいないと思うと
もう、一緒に散歩できないと思うと
もう、なでてあげられないと思うと
やっぱり、悲しいけど。
シロは立派に生きました。
とても強い犬でした。
最後は少し苦しかったのですか。
今は自由に行きたいところ行けるからね。
また、ね。
きっと、またね。
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シロとの出会いは
今でもはっきりと覚えてる。
そう、私が小学校6年生の頃、
近所の家から子犬(コロ:雄)をもらい
飼い始めたころだった。
私は、母にお願いされてか、
夕飯の準備で
ブロッコリーをゆでていた。
すると幼稚園に通っていた妹が
友達と遊んだ後、帰ってきた。
そして神妙な顔で私に、
「ねぇ、白い子犬がついてきちゃった。この犬も飼おう」
と。
お願い、お願い、と言った表情で。
しかし、私は
『だめだよ、うちにはもう、コロがいるでしょ。
しかもこの子はメスじゃん、なおさらだめだよ。
拾ったところに返しにいくよ』
と、返事をした。
そして、夕食の準備を放り出し、
妹と一緒に、
白い犬を、拾った空き地に返し行った。
ごめんね、頑張ってね。と。
お別れをして。
妹に行くよ、と行って家へと帰る。
が、全然だめ。
絶対ついてくる。
小走りで走っても、だめ。
結局、家にもどる、
私と妹と、白い子犬。
もう、私はお手上げ状態。
ブロッコリーをゆでてた
鍋はからっから。
(火とめなかったのでしょう・・・w)
後は、もう、お母さんに聞いて。と。
その後、母に頼み込む妹。
母も一度は返しにいったらしい。
でも、結局、家に戻ってきちゃって。
その根性と、可愛さに、
結局、家族の一員になった
白い子犬、シロ。
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そんなこんなで、ほぼ、同時期に
我が家には、犬が二匹、家族に加わった。
コロとシロ。
名前は似てるけど、性格は真反対。
おとぼけキャラのコロ(オス)。
しっかりもののシロ(メス)。
コロがシロにちょっかい出そうものなら
威嚇する、シロ(笑)
ねーねー遊ぼうよ〜シロ。
うるさいな!コロ!
と、まるでこんな会話が繰り広げられている様な感じ。
仲は決していいわけではない。
そのくせ、わざとべつべつに散歩させると
コロはシロがいないと寂しがる。
シロはコロがいないと心配する。
なんだかんだで
不思議な縁で結ばれてた二匹。
こう、書きながら、
シロとの想い出は、
ぽろぽろと出てくる。
私が、大学進学で沖縄を離れる前夜。
寂しくて、不安だった時。
シロを抱っこして、
コロをなでながら、
空を見てた事を覚えてる。
シロ、コロ忘れないでね。と。
シロの好きだった場所。
シロとの散歩。
シロは、自分の行きたい道があると
こっち!と意思表示する犬だった。
シロはとても強い犬で、
オスのコロよりも番犬として頑張っていた。
気は強いシロだけど、
体は弱かった。
シロは、3度大病をした。
でも、3度とも奇跡の回復を見せた。
だから今回もと、家族みんなが願ったけれど。
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ちょうど、1週間前。
家に帰ると、
よぼよぼとしか歩けないシロの姿が。
その前の週は一緒に散歩に行っていたから驚いた。
息も荒く、
水を飲む時だけ以外は、
ずっと横になっている。
母いわく、持病の癌が末期なんだと。
というか、この時、癌だと知った。
こんな状態のシロ。
そんな時に限って母は、
妹の卒業式で次の日から4日間東京へ。
だれも、シロがこんな状態になるなんて
わかんなかったからね。
コロとシロにとってのボスは母。
だから、母がいないのはとても心配だった。
私も心配しながら実家を離れ伊是名島へと戻った。
妹2人にも連絡をした。
妹たちはシロの顔を見ていないからなおさら心配だったと思う。
母が東京へと旅立った後も
ずっと、ご飯を食べず、ずっと横になってたシロ。
心細すぎる父が看病を。
でも、なんと4日間、ご飯も食べないで
母を待ち続け、母とちゃんと会えた。
待ち続けた、
母に抱っこしてもらった、
その次の日の夜、
3月28日20時30分。
シロは天国へと旅立った。
私も伊是名島から
東京にいて会いに来れない妹たちに変わり、
姉妹代表として駆けつけていた。
お母さんと、お父さんと、私にみとられて、
シロは天国に行った。
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シロが天国に旅立ってから、
シロの写真を探そうと
母とアルバムを探している間に夜はふけた。
シロをなでに行こうとシロの場所へ。
すると、
コロがシロの隣で、
添い寝している。
どんな時も、
ずっと、
ずっと、
ずっと、
二匹だった。
だから、最後も。
コロが分かってなのか、
なんなのかは、わからないけど。
今日は、近づいても怒られないから。ね。
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シロが天国へと旅立った、次の日の朝。
家の庭にシロのお墓を作った。
野の花を集めて、その周りを飾った。
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涙もろい母は、一度も涙を流していない。
いつも30秒のCMで泣くくせに。
母は、強い。
いざという時、強い。
シロが天国にいく直前、
息がおかしくなった時。
もう、これは。と私は取り乱しそうだった時。
お母さんは、やさしい声で
ありがとね、ありがとね、シロ。
シロは強い犬だったよ、ありがとね。
と。
涙はちっともみせずに。
その声を聞きながらシロは旅立った。
なんだろ
そこには、シロが死ぬということへの恐怖はなかった。
何事にも寿命はあるからと。母。
その姿を見ながら、
日々、1日1日、愛情もって接していれば
さよならのときも
大きな心でいられるのだと。
悲しむのは、見送る方の気持ちの問題とさえ思うほど。
きっと、
やさしさは、強さに変わるのだろう。
私も、こうあらねばと思う。
娘が女に変わるには、この強さがきっと必要なんだ。
と、横で悲しむ父の姿。
でも10日後ぐらいに
寂しさがどっとくる気もする。
泣けるときはないてくださいお母さん。
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このブログを書いてる間、
周りに犬なんていないのに
なんどが犬の鳴き声がした。
シロ、ここに来てくれたのかな。
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おわり。